現代から見た紫微斗数
2000年9月に「科技紫微網」が設立されて間もなく、私が紫微陰陽主星の分析を書いていた時、この紫微斗数と易経の考え方を合わせることを思い付きました。易経の分類法である「太極は両儀を生み、両儀は四象を生み、四象は八卦を生む」の考え方で、紫微斗数の「命盤(めいばん、紫微斗数のホロスコープ)」を陰陽の二大分類に分け、更にこの2つを4タイプに分け、更にこの4タイプを細かく分類していくと114種類の主要な「命盤」になりました。
この4タイプとは、
老陽:純陽;性格的に表現がストレートで、人生を積極的に追求し、犠牲を惜しみません。楽しむことを好み、自分を重視します。
少陰:多陽;性格的に表現が穏やかで、リーダーシップがあります。何事も積極的で責任感が強い人です。
少陽:多陰;とても率直で、細かいことに拘りません。話が明快で、親切で人に尽くします。
老陰:純陰;穏やかで自律的です。考えることが好きで、他人の影響を受けやすい人です。
この2年来、私は多くの人にとって、この易経的な考え方を理解することは案外難しいことに気が付きました。そこで、この性格的特質に合わせて、この4タイプを新たにこう呼ぶことにしました。
開拓型( Action):行動が早く、直接的で、細かいことにとらわれない代わりに、比較的根気がありません。人生における変化が多く、生まれついての冒険家・先駆者です。
指導型(Leadership):このタイプは思考と行動のバランスが良く、リーダーシップを発揮します。率先して行動することができ、生まれついての指導者・統率者です。
支援型(Support):このタイプは親切で明るく、人に影響を及ぼすことを好みます。自分の意見をきちんと発表できる、すばらしい作戦参謀です。よって支援型と呼ばれるのです。
適応型(Adapt):このタイプは穏やかで人に合わせるのが得意であると同時に、人からの影響を受けやすく、学習及び生育環境がその性格に大きな影響を及ぼすので、生まれ持った性格が最も変わり易いとも言えます。落ち着きがあり、良く考え、突然考えを変えたりせず、人生は計画的に一歩一歩進むタイプなので、事故にも遭い難いタイプです。
ここまで書くと、行動科学や心理学に興味のある方は、恐らく当時の私同様に訝しくもあり、また驚きの気持ちになるのではないでしょうか。何故ならこれらの分類は、スイスの心理学者・精神医学者である、ユング(Carl G. Jung, 1875~1961)の研究内容にとても似ているからです。
中国人が占いをする際の基本的な考え方は、人間の性格と複雑な行動については、実は一定の法則に従って循環しており、それは生まれた時に決まっていると言うものでした。そして、現代の心理学及び遺伝子の研究によって、その仮説は正しいと言うことが証明されて来ているのです。40年代に入りユングは、人間の行動は決してランダムなものではなく、ある特定の考え方によって定められていることを見い出しました。人間の脳は発達するにつれて、全ての人生は生まれてから、ある決まった志向・嗜好を持ち、それぞれ違った思考過程を辿ると言うのです。ユングは、ある個人が外の世界に触れた際、二種類の全く相反する態度や傾向を示すと定義したのです。
それはExtraversion(外向)及Introversion(内向)と呼ばれます。同時にユングは人は生まれた時は外向的ではなく内向的であるとしました。この様な考え方は人々の外界との関わり方に影響しましたが、一方でこの性格の組合せは良く変わるのか、固定されているかについては分かっていませんでした。
ユングのこの研究の成果は現代の心理学テストの発明に大きな影響を及ぼしました。例えば、マイヤーズとブリッグスの二人の女性による有名なMBTIテストは、40年代のユングの認知と判断、外向と内向、感覚と知覚、理性と感性の4種類の双極嗜好理論によるもので、人は16種類のタイプに分けられると言うものです。
これとは別に、DISCテストはユングの理論をもとに、人の性格を外向的D型(主導型、Dominance)と外向的I型(感化型、Influence)及び内向的S型(安定型、Stediness)と内向的C型(慎重型、Compliance)に分類していますが、これは私が上述している「紫微斗数」の性格分類に相当近いとは思いませんか。
更に不思議なのは、この分類は紫微斗数による分類に似た精度を持つだけではなく、出生時間からこれを分類する紫微斗数のやり方が極めて正確であることを示しています。紫微斗数なら、上記の様な膨大な心理テストを受ける必要も無いし、またテスト後の灰色で曖昧な部分が出る確率も極めて低いのです。
「科技紫微網」では50万例の命盤確定をした後の「命盤」があり、またその成功率は93%と極めて高い数値を示しています。また命盤確定時の要調整率は21%となっています。 同時に、「命盤の確定
<定盤(ていばん)>」をすることにより双子の問題や、閏月の補整もできるのです。つまり、我々は紫微斗数の「命盤」に全く新しい価値を見い出し、これまでの摩訶不思議な占いの道具から、実用的な道具としての価値を見い出すに至ったのです。
これはとてもすごいことだと言えるでしょう。そして人の先天的性格が大部分の行動を支配していると言う見方は、これまでの伝統的な宿命論ではなく、むしろ遺伝子論に近いもので、とてもすごい発見だと言えるのです。
ユングの一生はとても華々しいものでした。
元々はフロイトの優れた門下生でしたが、その後、見解の相違から距離を置くようになりました。ユングは晩年、天文学に興味を持つようになり、「心理学によって人の性格を分析することは、星座を使った分析によるものに及ばない。」と語ったことから、多くの占星術者を勇気づけると同時に、心理学の世界とは気まずい関係になってしまいました。しかしながら、もしユングが生きている間にこの紫微斗数に触れ、この紫微斗数は出生時間を使って性格の分類を行い、その正確さは西洋の占星術をはるかに凌ぐものだと知ったら、この影響はライプニッツが易経に触れ、コンピューターの基礎である二進法を完成させたことにも負けないくらいの大きなことだったでしょう。
科技紫微網を創設してからもう3年目になろうとしています。この新しい年を迎えるに当たって、私が皆さんに贈りたい言葉は、ずっと強調し続けている「運命改造
<造命>
」です。人生計画のモデル化において、私達はとうとう次のことを証明するに至りました。私達は紫微斗数の神秘的なパワーを弱め、これを衰退させているのではなく、逆に現代的な価値を与えることで、そのパワーを高めているのです。紫微斗数の「命盤」は神が与えた贈り物です。
人は生まれながらにして特定の志向・嗜好を持ち、それぞれ違った考え方をします。けれども、この「命盤」はあなたがいつ死ぬかを教えてはくれないし、いつどれだけのお金を稼ぐかも教えてはくれません。それらはあなたが生まれた後の環境や学習、知り合う人によって違った結果を引き起こすのです。
これが「科技紫微網」を創設して2年が経過しての収穫です。我々は実際の検証で、占いの間違いを否定し、改めて「命盤」の意義を肯定しているのです。これこそが「運命改造」なのです。――「命盤」をきちんと理解し、自分の運命を創り出すのです。
もう一度ここで強調します。「命盤」や「主星(しゅせい)」には良いも悪いもありません。間違っているかどうかは後天的な努力によるのです。決して先天的な宿命ではないのです!
科学の意義は、それまでの自分を否定することができるかどうか、それまでの自分に疑いを持てるかどうかです。ですから、「科技紫微網」は皆さんが一緒にこれを考えてくださることを心より歓迎いたします。そして一緒にこれまでの間違った宿命論を打破しようではありませんか。古い紫微斗数にこびり付いたたくさんの汚れを一緒に洗い流し、本当の紫微斗数の姿を見てみましょう。そして中国人の偉大なる発明品を世界に向けて発信しようではありませんか!
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